<デジタル通貨> 日銀が研究に乗り出す

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<デジタル通貨> 日銀が研究に乗り出す

日銀がヨーロッパの中央銀行などとともに、電子的な通貨「デジタル通貨」の研究に乗り出し、年内をめどに報告をまとめる方針を打ち出しました。

「デジタル通貨」って実際にはどういうものなんですか?

広い意味では、紙幣(お札)や硬貨(コイン)といった現金ではない、データ上でやり取りされるお金のことを指します。特に最近は「○○Pay」のようなツールの普及で、キャッシュレス決済も身近になっていますね。
ただ、今回、日銀が研究に乗り出すデジタル通貨は、「現金に替わる決済手段として中央銀行が発行する電子的な通貨」のことで、各国で研究が進んでいます。
紙幣や硬貨といった現金は、法定通貨として信用されているため支払いなどに広く使われています。
デジタル通貨は、この法定通貨を電子データとして発行するというもの。具体的な発行の方法としては、個人が中央銀行に口座を設けて決済に利用する形、銀行など金融機関どうしの決済に対象を絞る形など、さまざまな研究が行われています。

なぜ今、中央銀行がデジタル通貨を研究するのでしょう?

デジタル通貨の発行にいくつかのメリットが見いだされているからです。
まず、中央銀行が発行するデジタル通貨は信頼性が高く、現金を使わずスマートフォンなどで支払いができるキャッシュレスの普及につながると指摘されています。
また、通貨の偽造や脱税などの不正防止にもつながるとされています。
ただ世界では、デジタル通貨をめぐる各国の中央銀行の動きが活発になるきっかけになった出来事が2つあります。
まず、2019年、世界で20億人を超えるユーザーをもつアメリカのフェイスブックが打ち出した暗号資産の一種でデジタルコインとも呼ばれる「リブラ」の構想です。

膨大な数のユーザーが国境を越えてリブラを使うようになれば、ドルやユーロ、円など各国が発行する通貨の役割が低下し、リブラが主要な決済手段に置き換わる可能性があります。
中央銀行が物価や雇用を安定させるために行っている金融政策にも影響を及ぼしかねないため、各国の間でリブラへの警戒感が一気に高まり、G7やG20の場でも金融システムに深刻なリスクが生じると各国が発行をけん制しました。
2つめのきっかけは、「デジタル人民元」の準備を加速している中国の存在です

2019年10月、政府系のシンクタンクの幹部が「中国人民銀行は世界で初めてデジタル通貨を発行する中央銀行となるだろう」と発行に強い意欲を示しました。国内で「スマホ決済」が広く普及していることに加え、デジタル通貨の分野で主導権を握ることで人民元の国際化を進め、世界の基軸通貨・ドルに対抗するねらいがあるとも言われています。
中国の動きをみてECB=ヨーロッパ中央銀行も、域内で使えるデジタル通貨の発行の可能性を検討する考えを表明しました。
こうした動きに背中を押される形で、これまで内部で研究はしていたものの、デジタル通貨の発行には慎重な姿勢だった日銀も一歩踏み出したものと見られます。

具体的には、どう進められようとしているのでしょうか。

デジタル通貨には、さまざまな課題があります。
普及して現金の流通が減ってしまうと、スマホの扱いが苦手な人などが支払いに困り混乱を招くという懸念もあります。また、中央銀行のデジタル通貨と民間のIT企業などの決済サービスの役割をどのように区別するかも課題になります。

このため日銀によりますと、主要国の多くの中央銀行はこれまで発行に慎重な姿勢を示してきたということです。
日銀は、ECBやイギリス、カナダ、スウェーデン、スイスの中央銀行などと、デジタル通貨の研究を進める共同グループを設立しました。
研究グループは、サイバー攻撃への対策や、国境を越える送金の方法、金利をつけることができるのかなどについて共同で研究を行う計画で、年内をめどに成果を報告書にまとめる方針です。研究成果をもとに実際にデジタル通貨を発行するかどうかはそれぞれの中央銀行の判断に委ね、日銀も「今の時点で発行する計画はない」としています。
日銀としても各国の協力を得ながら技術的な課題をできるだけ早く洗い出し、発行するかどうかの判断材料を整えたいというねらいがあるものとみられます

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