<景気動向>景気回復はもう終わったのか?

ニュース

<景気動向>景気回復はもう終わったのか?

政府は5月13日に景気動向指数を発表し、今年3月の「景気動向指数」は、基調判断が「悪化」に下方修正されました。

「悪化」となったのは、実に6年2か月ぶりです。しかし、思い出すのはことし1月。政府は「今の景気回復が戦後最長となった可能性が高まった」としていました。その景気回復、もう終わったのでしょうか?

<景気動向指数とは>

景気動向指数は、さまざまな経済指標を組み合わせて、国内の景気が上向いているか、それとも下向きなのか、景気の方向や転換点をつかむための統計です。

中でも、景気の現状を示す「一致指数」は、鉱工業生産指数や商業販売額、有効求人倍率など9つの経済指標の動きを統合し、作っています。

ことし3月の「一致指数」は、2015年を100として99.6と、前の月を0.9ポイント下回り、2か月ぶりに低下しました。この結果、基調判断も「悪化を示している」と下方修正されました。

<悪化>とはどうゆ意味?

景気動向指数の基調判断は、指数の動きから機械的に「改善」、「足踏み」、上方あるいは下方への「局面変化」、「悪化」、「下げ止まり」の5段階に振り分けられます。

今回も、一致指数の下落傾向が続いていることが計算上、確認されたことから、機械的に「悪化」に下方修正されました。「悪化」というのは、内閣府の定義では「景気後退の可能性が高いことを示す」としています。

2月までの基調判断、「下方への局面変化」は「景気が後退局面に入った可能性を示す」もので、それよりは、一段階、景気が後退した可能性が強まったことになります。

景気の回復や後退の時期の正式な認定は、1年から1年半後に、十分な統計データがそろった段階で、内閣府の有識者による研究会で行われます。このため今は、あくまで「可能性が高い」という段階にとどまっています。

ただ、過去に基調判断が「悪化」となった2008年から2009年にかけてや、2012年から2013年にかけての時期を見ると、いずれも事後の研究会で、少なくとも一部の期間は「景気後退」と認定されています。

<ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長>

「景気がよいか悪いかで言えば、間違いなく悪くなっているが、後退局面に入ったとまでは言い切れない微妙な局面だ」

<悪化は、いったいなぜ>

今回の景気動向指数では、景気後退の可能性が高まる結果となったのでしょうか。

指数の低下には、中国経済の減速が大きく影響しています。3月の経済指標では、輸出される半導体製造装置やフラットパネルの製造装置などの出荷が落ち込み、生産用機械や自動車の生産なども減少しました。

中国経済の減速は、企業の業績にも影を落としていて、SMBC日興証券が、今月9日までに、ことし3月期の決算を発表した555社の業績をまとめたところ、最終的な利益の合計は、前の年を3.2%下回りました。

景気を慎重に見る声は、企業経営者からもあがっています。

東芝の車谷暢昭会長は「米中摩擦などで中国の景気の落ち込みは感じている」と述べています。

また、りそなホールディングスの東和浩社長も「電子部品や半導体の企業で、すでに貿易摩擦の影響が出ているのは事実だ」と指摘しています。

<政府の見解>

政府の公式な景気判断である「月例経済報告」は、ことし1月に「今の景気回復が戦後最長になったとみられる」という見解を示しています。さらにその後も4月まで、「戦後最長の景気回復は続いている」としています。

月例経済報告は、安倍総理大臣も出席する関係閣僚会議で、経済指標の動きだけでなく、その背景も含めて、総合的に見て取りまとめるため、機械的に導き出される景気動向指数の基調判断とは、このところ食い違う形となっています。

<菅官房長官は5月13日の記者会見>

「わが国の経済は、中国経済の減速などから、一部の業種で輸出や生産が鈍化しているが、雇用や所得など内需を支えるファンダメンタルズ=基礎的な条件はしっかりしている」

<景気の先行きにがぜん注目>

景気の先行きに注目が集まる背景には、ことし10月に予定される消費税率の引き上げとの関係があります。かねてから、安倍総理大臣を含め、閣僚たちは、増税の前提として、「リーマンショック級の出来事が起きないこと」としています。

それだけに、今の景気の振るわない状況を「リーマンショック級にあたる」と説明し、税率引き上げの3度目の延期に踏み切るのではないか、そんな疑心暗鬼が消えないのです。


「増税は間違いなく景気にマイナスになるので、実力が弱っているところに増税という形になれば、日本の景気が厳しくなるのは間違いないと思う」(ニッセイ基礎研究所 斎藤室長)

アメリカのトランプ政権は13日、中国からのほぼすべての輸入品に高い関税をかける手続きに入るなど、貿易摩擦は激化の一途をたどっています。

ヨーロッパでも、イギリスのEU離脱をめぐる混乱が続いているうえ、ドイツの経済も減速していて、世界的な景気減速の可能性が指摘されています。

こうした中で政府は、5月下旬に示す予定の月例経済報告で、どういった景気認識を示すのか。「戦後最長の景気回復は続いている」として、今後の推移を見守るのか、それとも景気の不透明感の高まりに対して何らかの手を打つ姿勢を示すのか。アメリカのトランプ政権は13日、中国からのほぼすべての輸入品に高い関税をかける手続きに入るなど、貿易摩擦は激化の一途をたどっています。

ヨーロッパでも、イギリスのEU離脱をめぐる混乱が続いているうえ、ドイツの経済も減速していて、世界的な景気減速の可能性が指摘されています。

こうした中で政府は、5月下旬に示す予定の月例経済報告で、どういった景気認識を示すのか。「戦後最長の景気回復は続いている」として、今後の推移を見守るのか、それとも景気の不透明感の高まりに対して何らかの手を打つ姿勢を示すのか。

今後の政府の景気判断と経済政策の行方に注目が集まっています。

1

関連記事

ピックアップ!

ピックアップ!

カテゴリー

タグ

月別アーカイブ